「王、フリーザ様との会議が・・・」
「ああ分っている。少し待ってくれと伝えろ。」
「はい、了解いたしました」
戦乱の地
心安らぐ場所ではない。
ましてや自分は一国を統べる王たるもの。
甘えはゆるされない。
ただ王として一手にその民族の行き先がかかっている・・・。
「息子はどうした?」
「はっ、王子はいま重力室にて戦闘力の調整を・・・」
「わかった。退け。」
「はっ。」
なのに。
息子のことが一番に気にかかる。
いずれこの星は我が息子にゆだねられる。
息子の為にも国力を・・・安定を手に入れねばならん・・・
苦渋の選択。
もしもだ。もしもこの選択が誤っていたとしても。
我が惑星に
我が息子に
幸のあらんことを。
「お互い子供できてかわっただな。」
「ああ。そうじゃな。」
のんびりした山奥の小さな小屋の中で、ずんぐりとした体格の男と
初老の男がなごやかに会話を楽しんでいる。
「母親がいねえ分強い子にそだてようと思うんだけんど、やっぱわが娘。
愛しさの方が勝っちまってつい優しくしちまうだな。」
「・・・ほほう、お前もそうか。
わしもな、ついついきんたまくらねだられて寝かしてしもうたり・・・
駄目じゃな。」
「ハハハ。まぁ親はそういうもんだべ。
結局は自分の分身だがんら、めんこくてめんこくて・・・」
男の強面の目つきが急に細くなり、さもいとおそうな目で何かを見やる。
その目先に、
まるで娘がいるように。
「そうじゃな。まぁだからこそこうやってたまには厳しく修行をつけてやるんじゃ。
・・・甘やかすも厳しくするも結局は子供が幸せに暮らして欲しいと
思うが為の親の我がままなんじゃ。
最近じゃ身にしみてわかるようになってな、この際開き直って
びしびししごこうかとな・・・フフフ・・・。」
「ハハハ。そうだべな。オラも開き直ってチチさに稽古つけてやるべか!
悪い虫は自分で追っ払えるようにな!!」
ハハハハハ・・・!!
笑う二人。それを不思議そうに見つめる一人の少年。
しばらく少年はぼんやりとしていたが、気を取り直して薪割りを始めた。
バキッパキッえいっ!・・・
・・・
・・・
・・・
「あら、あなた。なにかいいました?」
「いや、なにもいっとらんが・・・。母さんの空耳じゃないのかな。」
「そうかしら。ブルマさんは学校ですし・・・てっきりあなたが笑っているのかと。」
「・・・まぁ少し休んだらどうかね、母さん。疲れておるんだよきっと。
ほらここに座って。ゆっくりお茶でも飲みなさい。」
「あらパパったら。今日はお仕事大丈夫ですこと?」
「あぁ。たまにはわしもこうやって母さんと生息抜きせんとな。
・・・ほら・・・やっぱりワシの奥さんじゃし・・・
その一緒にお茶でもどうかなと・・・。」
「あらあなたったら。やっぱり私が結婚した旦那様だけありますこと。
でも顔を真っ赤にしてらして・・・病気にでもおなりになったの?」
「いや・・・別に病気じゃないよ母さん・・・。
母さんは言っても分らんだろうから気にせんでいいんじゃ・・・。
そ、それじゃ仕事しよっかな~」
「あら、もう少し付き合ってくださらないの?」
「・・・」
「・・・わかった。少しだけじゃよ・・・。」
「・・・」
「・・・ブルマもワシみたいにいい男と結婚して欲しいのぉ・・・」
ふと思いついたように白衣の男は呟く。
その呟きは勿論隣の女には十分聞こえる距離で。
「あらパパったら。大丈夫ですよ、ブルマさんなら。
あなたみたいに素敵な旦那様と結婚できますよ。」
その心知ってか知らずか、婦人は軽く肯いた。
「そうじゃな・・・。ワシの娘じゃ。もし誰を選んだとしてもワシは
娘を信じて見守ることにするよ・・・
なんて考えてしまうワシはもう歳かな?」
「いえいえ、あなたったら♪
まだまだ若いですわよ、まーだアッチは元気一杯じゃないですの。
おほほほほ♪」
「・・・昼間から母さんは・・・ハハハハハ!」
自然に笑顔と笑いが溢れて。
窓から光が差す。
平和な一日。
高く高く鳥が舞い上がっていく。
誰かの祈りを届けるように・・・
ねぇ悟天おにいちゃん。
なんだいパンちゃん?
今幸せ?
・・・なんだい急に?
だって彼女にふられちゃったんでしょ?
・・・えっ?どこからそんな話きいたのって・・・
あっ!!トランクスの野郎か~~!!
おい、なんかよんだか悟天?
よんだよトランクスくん!!・・・振られたことパンに言って~!!
どうせそのうち知っちゃうんだからいいだろ?ブラだって知ってるし、な?
うん、悟天っていつも女に振られてるもんね。ね?パン?
そうそう!!一人の女の子だけに熱をあげればいいのに。
そ、それをいうな~~!!
キャーーーっ!!
まてーーーーっお前らっ!!
走り回って転げる子供達。
先人達の祈りは今こうして聞き入れられ、
その血は絶えることなく流れていく。
絶えることなく。
幸福という名の青い鳥を連れて・・・
受け継がれる。