興味はない。カカロットをぶち殺す事以外どうでもよかった。あるとすれば、目的を達成する為の環境がそれなりに整って いたという事だけだった。修業の為の設備はいくらでも要望通り作ってくれたし、飯もそれなりのものを十分摂取できる。フリーザに虐げられていた時代よりも 遥かに寝心地のいい寝台もあったし、間抜けな住人に柵もなかった。要は思う存分、今までにないくらい好きなだけ一人の男を殺す為に強さを取り戻す作業に打 ち込めたのだ。
毎日身体を痛め付けては食べて寝て体力を回復させる。だが遅々として向上しない自身の力と超えられない限界の壁がプライドを幾度も絶望の鈍底に 叩き落とした。王子であり上流戦士であり誰よりも優秀であるはずの俺が本来星送りにされた屑であるカカロットごときに追いつけないとは許せない話であり、 あってはならない現実に他ならないのだ。故に強烈なジレンマが一層俺自身を追い込み、一時的とはいえカカロットの次点に甘んじている状況が、自分と奴への 激しい憎悪と殺意ばかりを駆り立てていった。
だからさしずめ女はただの背景だった。それが視界をうろちょろしだしてからというもの頭の中身さえなければ何度消そうかと思い至ったか。当初は無 視していたものの、段々智恵を付けて設備投資を盾に文句を付けてくる様になってからは、はっきりとこいつは目障りな存在だと認識した。ただでさえ真っ先に ぶち殺したいカカロットの野郎で毎日頭の中が一杯だってのに、更にくだらない女まで飛び込まれては適わない。こっちは余計な悩みまで増やしたくないっての に。
とにかくうざくて口煩い。自信過剰で口の聞き方もなっちゃいない。一々癇に触る言葉を選んできやがって、質の悪さは今まで会った連中の比じゃな いだろう。しかもこの上なく下品だ。頭が切れるだけにそこらの地球人と違ってあしらうのも一苦労だ。サイヤ人の女よりも癖がある。それに…あの体は中毒性 があって危険だ。ほんの僅かな気の迷いで関係を持ってしまったが、そのたかが一回で味を占めたのか一回が三回になり三回が十回になり、どうにも正気の沙汰 じゃない。だが逆に見れば、あの女もただの女だったということだ。
修業も堂々巡りで、狭い重力室で憎悪が鬱積してゆく。行き場を塞がれ、発作的に自身のダメージを無視した追尾弾を放ちそうになり、すんでの所で止 める繰り返し。ようやく修業を終えてもその頃には精一杯溜め込んだ気を破裂させずに寸留めしてるようなもんで、どうにか飯を食ったりシャワーを浴びたりす る行動で無理矢理発散させる。それでも静まらない時は、気分を変えるのに―
途端、映像がフラッシュバックした。
フリーザに弄ばれたあの恐怖。圧倒的な差がすぐ眼下にある現実。
ただ頭を下げて媚びへつらい丁寧語を話さなければいけなかった長い服従生活。
王子としての自尊心以外の何もかもを奪われ、虫けら同様に始末された終焉。
叩きのめされて漏れた自分の声が雑魚の断末魔みたいだった。頭にくる。
喘いで耐えてきたってのに。
直後知らされたのはそのフリーザをカカロットが殺したという衝撃。
そこにノイズが走る。
強大なパワーの行き交いをただ感知することしか出来ない状況見学。
そしてあれを上まるとか言う人造人間の出現予告。
一気に突き抜けられて、何もかもが歪んでぶち壊された。
動かない四肢が頼りなくて気が触れそうになる。
その記憶の全部が何かと被って
―頭痛がした。
そうだ、別におかしい話じゃない。処理しきれなくなって無理に閉じた回路は”そういう”向性を指した。あの女を使っても、問題ないと。
都合のいいことにあっちから押しかけてくれた。わざわざ俺の部屋まで文句を告げにきたのだ。毎度ながら物好きでお節介な奴だ。いきなり人様の部屋に入って来て我が物顔で何を言うかと思えば、人様の家を壊すなと来たもんだ。てめえで俺を家に誘っておいて何を言ってやがる。
「聞いてるの?」
「そんな文句をいいにわざわざ俺の部屋まで押しかけたのか?くだらんな」
流すようにあしらう。正攻法で争えば罵りの応酬は避けられない。だがまんまとそれを許す相手ではない。むしろ率先して口喧嘩に持っていく節がある。
「あんたには一度居候だって自覚をもっとちゃんと持ってもらわないとって思ってるわ」
「例えばここはあんたの部屋じゃない。私があくまで貸してる部屋よ。家主に対して取るべき態度ってものを少しは覚えてほしいわね」
一方的に突き付けられる要求は腹を擽られるようなくだらない話だ。
「てめえでいつまでも居ていいとか抜かしてやがった癖に今頃になって今度は所有権の主張か?」
最もらしい反論で女はうっと唾を飲みやや怯んだものの当然折れはしない。こっちの言動から新たな穴を見つけるまでだ。それをお互い延々続け、どっちかがドアを吹っ飛ばして出ていくまで喧嘩は終わらない。
「そうよ。タダ飯の大喰らいの癖に、父さんや母さんに対しても遠慮しないでこき使って。王子様の癖に礼儀がまるでなってないわ。」
「文明も力も貧弱な地球人如きに払う礼儀はない。」
「ならさっさとこの星から出てきなさいよ。人造人間はあんたなんかの力がなくたって孫くんが倒してくれるんだから!」
「出ていきたくたって宇宙船もろくにないのにどうしろと言うんだ、え?…カカロットをぶち殺さなきゃ俺の気が済まんからな。」
「あっそう、じゃあせめて孫君を倒すまで居候してる間は私や父さん母さんに対して何か奉仕してくれたっていいんじゃないの?まああんたに奉仕するって言葉の意味を理解できるとは思わないけどね。」
見下して微かにせせら笑いを浮かべたブルマの表情に、みるみる抑圧していた憤怒と劣情が込み上げてくる。あっけなく許容をオーバーして、俺は取るべくして次の行動を取った。
有無言わさず女をつかみベッドに引きずっていく。猛然と暴れ狂っても問題ない。両手両足を押さえ込みようやく女が腹を括ったのを確認すると、さっきの蔑視にこう答えてやった。「”奉仕”すりゃいいんだろ?」と。
それに呼応するように、組み敷かれた女も返す。
「昔は下品な女って言ってた癖に」
「こんなことしてるあんたも今は十分下品な男よね」
答えなかった。答えることも可能だったが、いちいち揚げ足を取られてからかわれるよりは、今やってることをさっさと進めて完膚なきまでに黙らせた方 が早いと判断したからだ。いい加減この女の性格は把握したつもりだ。余り調子にのって付け上がらせたくはない。だがその辺の事情を分かっているからこそ相 手も俺の口をこじ開けようとあらゆる手を尽くしてきやがるのだ。
「これからすっごく下品なことしちゃうのよね、ベジータは。いいのよ好きにして?それともやっぱりやめにする?」
ウフフと笑うこいつは琴線に触れるか触れないかの微妙なラインを言葉巧みに突いてくる。甘ったるい声でわざわざ人の名前を呼んで”これから正に下 品なことをしようとする”自覚を促して羞恥心を煽ろうって腹だ。これだけでも女の魂胆通り俺の神経をかなり逆なでしているが、どうにかそれを押し止め、減 らない口を叩く女の隙を縫うようにして唇に唇を押し付けた。
「んっ」
馴染ませるように強く触れ合わせる。そのまま舌先を侵入させようと試みたが、女の手が不意に首に回されそれは未遂に終わった。
「駄目よ?無視しようったって。これからなにがしたいのか教えてくれなきゃ私協力しないから。」
顔を離して開口一番がこうだ。内心呆れた。協力なぞされなくたって力の主導権は俺にある。女を無視して全過程を済ますことだって出来るのだ。…だ がムカつくことに、無理矢理犯せばこっちの負けをむざむざ認めたことにされちまうので、うまく宥めすかして進めなければならない。面倒臭いことこの上な い。
「ここまできておいて今更何言ってやがる。止めてやっていいのは俺の方だ。」
しぶしぶ返事をしてやると待ってましたとばかりに食いついてくる。こいつはある意味、こいつの明け透けな母親より質が悪い。
「あらホントかしらねそれ?コッチはどうかしら。」
一連の流れにおいて最も嘗めた表情を浮かべていやがる。悪戯っぽく人差し指を俺の口に沿わせ、更に親指も輪郭に当ててくる。何が狙いなのか、ただ人の顔を撫でる動作に不信感を抱き、全身の神経を研ぎ澄ませてみると、案の定、もう一方の手が”動いた”。
「甘い。」
女よりも早く肉体は反応した。咄嗟に腰を引き、隠したつもりになっていた奴の左腕を掴み取ってやったのだ。
…間違いない、こいつ人様の下半身を狙っていやがった!
「なにしやがると思えば…」
それで完全に頭に血が上ってしまった。強引に両手を拘束し、あわてふためく女の唇をこじ開けた。即座にはっとしたのか、僅かに押し返す舌に抵抗の意思を感じたものの、敵わないと知ってか今度は噛み付いてこようとする。
「この変態!」
ついてでた言葉は罵声だった。だがそこにもはや勢いはない。
「ベジータのスケベ!変態!女心のわからない馬鹿!」
全く酷い言われようだ。放っておけばまだまだ愉快なことを言いそうだったが、あまり文句も言われたくないから一つ忠告してやる。
「それが煽ってるつもりか?もう少し色気のある言葉を選ぶんだな。」と。
女が身をよじる。構わずに衣服を剥ぎ取る。胸以外あらわになった上半身に首筋から口を這わせる。うなじを嘗め鎖骨の窪みに触れながら、右手で下着の 上から胸の膨らみに手をかけた。指先まで広げて掬い上げるように、押し潰すように、つかみ取るように弾力を楽しむ。自在に形を変え下着の下で窮屈そうに揺 れる大きな山が、そのうち早く束縛をといてと言わんばかりに下着から迫り出してくる。重力に逆らって立ち上がろうとする胸の先鋭を露出させ、吸い付くよう に顔を埋めると少しだけ女の声色が変わった。
「ちょっと…」
なにか言いかけた女の口をまた塞ぐ。即座に咥内を侵せば女も暫くはしゃべれまい。
その間に右手の作業を再開する。乳首を摘み、陥没させるように強く押し込む。軽く引っ張り指の腹で擦ると、表情がみるみる強張っていく。どこまで 耐えられるのかし虐心が煽られ、掌の動きに強弱を付けてやる。塞がれた声の出口付近で反応が疎かになりがちな味覚器官が、救いを求めるようにその先を延ば し、歯に取り付いて。
ようやく酸素の取り込み口を開放してやると、今度は左胸の裾野に身体を降ろした。溝落ちから峯をなぞるように競り上がり、尖った桃色の部分に歯を立てる。
「いたいってば!」
無視してほじるようになめる。しゃぶり、吸い、また軽く噛む。柔らかさの狭間に顔を埋め、抓っては苦痛に歪んだ顔を見てニヤニヤと見下ろしてやった。
「このどS…」
「こうやった方が感じるんだろ?」
「感じるわけないじゃない!痣残さないでよ!」
「なんだ、あの男にバレるからか」
「…うるさいわね。もう別れたから関係ないわ」
「へっ、散々五月蝿く泣いてた割にはあっけないな」
「一々余計な心配して貰わなくて結構よ。あんたも私もやりたいからやるだけ、ただそれだけでしょ?」
「だったら大人しくしてろ」
問答しながら手を腿の間に突っ込む。下着をずらし、毛の割れ目に沿って中指を潜らせ、濡れた部分を即座に探り当ててやった。この女は感度がえらくい い。胸を弄らなくたって下手すりゃ口を塞ぐだけで濡れてやがるんじゃないか。しかも中の方を攻められるのが好きときてる。願ったりだ。
そのまま指を突っ込む。生暖かい粘膜の感触が体表の柔らかさとはまた違い、ぐねぐね絡む。指の本数を増やし、奥突き当たりの手前を小さく丸を書くよ うに混ぜると、生意気な女も急にしおらしくなる。更にざらつく狭いそこをグリグリと序序に強く圧迫していけば、女は喘ぎだし、涙目で懇願してくるのだ。そ して実際女のこっちも、グチュグチュ音を立て解れた肉が、隙間を開けて更に次の餌を待ち構えている―
「ベジータぁ…」
詰り文句を並べるその口から名前を呼ぶ声が聞こえる。気の強さが引っ込んで変わりに出てくるのは萎らしい要求だ。「お願い、早く…欲しいの」
足を広げ手でシーツを掴み、軽くもたげた頭が足の間に陣取る俺を見詰める。完全に開かれた身体を前に、次の瞬間迷わすそのまま馬乗りに覆い被さった。
下着を千切り取る。愛撫で溶き解れトロトロに濡れた媚肉に猛ったそれを遠慮なく挿入する。中は熱くズブズブ俺を捕えると、脈打つ自身が耐え切れず 子宮まで犯すように深く突きを開始した。足を拘束し、完全に女の腰を固定した状態で何度も貫く。身体を引き裂くようなつもりで芯部を強く激しく摩擦し、負 けじと締め付ける蜜壷の刺激に耐える。弾力に富みきつくフィットする、樹液を塗りたくったゴムのようなそこだけは最高級の出来だと思う。女自身も心得てい るのか、内部に力を加えて意図的に俺を試すようきつく締め付けてくる。その余裕がまた競争心を煽った。片手で右足を持ち上げて開いた上下間に更に深く割り 込む。
体位を変え、強く噛み合う鍵のような態勢で内壁の突き当たりを更に自身でまさぐる。打ち付けるよう進み掻き出すよう戻す反復動作が女の身体を小 刻みに揺さ振り、強弱遠浅付ける度に背筋を軽く引き攣らせた。奥をえぐればえぐるほど女も堪えるのか目が虚ろになり、脱力して受け身になる。強気の態度も 快楽に押し流されれば萎らしくなり、少しは女らしくなる。
「…は…あ…ぁっ…」
小さく喘ぎを漏らす。自分の性感にだけ五感を埋没させてるのか、イく為の要望を自然と口に出し始める。自分でも身体を抑えられないのか支えを求めるように掌が俺に差し延ばされ、掴んでやると安心したように湿った溜息をついた。
その全てが釈に触る。殺してやろうか痛烈に思う。この女は気が狂っているに違いないのだと。大体何故こんなに安心しきっているのか訳がわからない からだ。そしてその度に苛立ち殺してやりたいという激しい衝動に駆られながらも、一行に実行しない自分自身もおかしい。だがそんな思考は近付く絶頂を前に すると簡単に吹き飛んで消えてしまった。
「…もっと…強く突い、て」
言わずもがな腰を引き一気に捩込む。大きく激しい動きに、女の俺と繋がった部分が圧迫するよううごめく。グチャグチャガムを噛むような音が出て、手加減していた力を開放した。
「あ…い、い…あ」
「あ、あ、そこぉ…っ強…く」
もう遠慮はしない。
相手が壊れたってしるものか。
「あ、やっ、ぃやっ…おかしく、な、ぁ…」
頭がスパークする。もう限界だ。
「ああっ…あっ…んん!」
「はっ、んっ!」
握られた手に力が篭ると根本が食い込むように締め付けられ、直後そのまま下半身に滞って溜まっていたものを吐き出した。どくどく動機みたいに脈打ちながら搾られるように先まで圧迫されると、女に残り全てを出し切り根元を引き抜いた。
「…あ…」
頭がすっきりしたこっちとは違って未だ中をひきつかせてやがる女は体内から馴染んだ物を取り出されたのが残念なのか軽く呻きをあげる。こっちにす ると事が済めばしなだれた女の体は邪魔だったが、叩き出すにしてもこんなでは埒が開かないと舌打ちし、白い上掛けを払いのけた。重力室ですっかり混線して しまっていた頭が今はすっきりしている。むくりと身体を起こして胡座をかけば、その軽さが実感できた。このままぶっ倒れて寝てもよかったが、女を見てそれ を止めた。一瞥くれてやってベッドから降りるとシャワールームへ向かう。そうしてる間に女もさっさと出ていってくれることを願いながら。
―ちっ
顔をしかめて後悔した。女はどうみても調子に乗っている。そして分かっていて女を抱く俺も脳みそにガタがきてるんじゃないのかと。
不吉なデジャビュが過ぎって一瞬寒気がする。このままなし崩しになりそうで気が滅入った。だが当面の問題はどうやって女をベッドから追い払うか、だ。
…こうして俺は、既にブルマという存在が頭を悩ます立派な種になっているという事態に無自覚なまま、やがて数年後、不吉な予感をむざむざ現実にしてしまう羽目になる。