一つだけいえなかったことがあった。
それは最悪な可能性としての話だったし、やる気になってるこの子達には残酷な話だったから。
かといって私もまだ相手の強さなんか漠然とさかはかれてないし、何も見ていない以上この子たちの話と印章から憶測しか立てられない。
だからって決してそいつが弱い奴だとは思わないけど、それでも腕を一瞬で切られた・・・って事は相手もかなりの強さってこと。
下手しなくても私より強い可能性がある。{{br]}ただし逃げる事なら充分可能ななはず。
そうは思うけど。
それでも、「カイトって人、おそらく死んだかもよ?」
っていえなかった。
もしも、そして光
可能性としては低い。
ただゴンが話をしてたときのキルアの表情は、本人は隠してるようだけどうっすらと影が見えた。
それも下手したら絶望的な予感、をね 。
・・・この子は全て見ていた。
だから彼の予測はゴンなんかよりよっぽど現実的にほぼ”正しい”だろうし、すでに直視し難い”結論”を確信的に抱いているのかもしれない。
だけど、ゴンが話を進める内にその影は薄れてくのを感じた。
まるでゴンの希望ある予測に引き込まれるように。
嫌でも悲惨な現実に人間はいつか直面する。
勿論この子達だって例外じゃない。
若くしてハンターになった分だけ人よりも早くこの問題にぶち当たってしまっただけのこと。
そう切り捨てるのが甘えを許されないハンターの取るべき態度と言うべきもの。
だから私はまた一つの可能性の為にすぐさま修行を付けてやる。
自分の無力を嘆く時間は無い。
嘆くぐらいならその時間で自分の無能さを死ぬ気で取り戻せと、言わずとも理解してる子達なんだけど・・・。
この努力がまた、深い絶望を与える結果になるかもしれないのも事実だ。
・・・。
酷だけど、この子達を囮にすれば逃げおおせたはず。
そこまで考えて少しため息をついた。
そう、そんなこと私にだって出来るはずない。
カイトって男みたいに身の危険侵しても”足止めすること”を選ぶ。
なぜなら、この子達を潰したくないから。
その為に死んだとして、この子達がそれを知ったとして、だけどそれで二人ははたして潰れてしまうだろうか?
・・・私としたことが間抜けなことに考えを進めすぎたみたいだわさ。
この子達はどんな最悪の結末をも乗り越えてける。
だけどそもそも、特にゴンって子は、そんな運命とやらが待ち受けてたってなんだかいい方向へねじまげてしまう、いや、むしろ勝手にねじ曲がってくれそうな気にさせられちゃう。
相方である現実主義者のキルアもそれに飲まれてしまうほどの運を引き寄せる光ってやつを―
なんだか今無性にきっとこの子はどうにかしてしまうに違いないと思い始めてる私がいる。
修業を付けて「助けて来いっ!」て送り出したくなる。
今必要なのは、残酷な結末に対処できる神経ではなくて
現状を変えられるのではないかという可能性を出来うる限り伸ばしてやる事。
だから私は、その言葉を
希望を潰しちゃいけないと思って言えないんじゃ無くって、
ムチャな希望も叶えるんじないかって思わされるから
今は、あんた達に言えないでいる。