Only our time#ヒューズ×グレイシア

「はぁん・・・あついィっ・・・」

男のモノを自らの身体に沈めながら、込み上げる歓喜で気がおかしくなりそうになる。
火照った熱が内部に今か今かと燃え広がるのを押さえ込み、暫くぶりの硬さに期待が耐えない。
貴方の温度が私にじわじわと滲み出し、貴方も私と同じように興奮していることを知った。

「ずっと待ってたわ。」

ともすれば泣きたくなる。
戦場にいる貴方を待つのは苦しい選択だった。
軍属の貴方を止めることなど出来なかったし、貴方自身がなにより戦場へ行くことを願ったから。

―戦争が正しいだとか、そんなことは俺だってわからねぇ。
ただな、俺は国を守る軍人だ。だから・・・方法がなんであれ、その為に全力を尽くさなきゃ生活していけねぇ。
それにロイ達のお守りをしなきゃなんねぇしな!

そうやって笑った貴方に、私も笑って送り出そうと思ったの。
こんなにも強い貴方の恋人が、泣いて縋り付くような真似をするのはみっともないと。
これはお別れなんかじゃない、ちょっと長い出張にいくんだとそう自分に言い聞かせて、
あの日私はいつもと変わらず貴方を、「いってらっしゃい。」と見送った。

やさしい目が私を包む。
腰に回された手が力強く私をつなぎ止め、まだ動いてもいないのにじんわりと私の奥を波打たせる。
「ただいま、グレイシア」
そうはっきりと貴方はそういって、あの時と同じように微笑んでくれた。
誰よりも人殺しが嫌いな貴方が戦場へ出かけていった日のように。
ただし今度は”せいいっぱいの”ではなく、”本心からの”笑顔で。

「お前を抱くのも久しぶりだ。」
嬉しそうにそういって胸元に顔を埋める。
重ねた肌の汗と匂いを確かめるように緩慢に唇を丸いラインへと這わせると、
堪らなくなってしまったのか右手を胸に押し当て指先で引っ掛けるように掴んだ。
「・・・相変わらずいい胸してるな。」
そうやって褒めながら、繋がった部分の熱は貴方がすでにはちきれそうになっていることを素直に伝える。
本当は抑制のたがを吹っ切って夢中で私を”抱きたい”はずなのに、
それに耐えて私に以前と変わらないようにやさしく愛撫を施そうとしているのが、
なんだかいとおしくてかわいくて。

「ねぇ、そんなに気を使わなくてもいいわ。」

自分から思わずそういってしまった。
ふいの言葉に目を丸くする貴方に口を押し付けて、すこしでも緊張をほぐせるように囁いてみせる。
「・・・あなたのしたいようにもうしていいわ」と。

だがそれでも戸惑う貴方に私なりの精一杯を伝える。
頬が赤くなっているなと自覚しながら。

「早く、感じたいの・・・。」

直視出来ず、視線から逃れるように貴方の肩へ顔を隠す。
だけれども、一瞬強張る私の身体はすでに貴方の手の内にあって。
次の瞬間あっけなくベットへと押し倒されてしまった。
そして間も空けずに唇を奪われる。
いままでのしぐさが嘘のように、貴方の中の”我慢していた本能”が私を包んでいくのを抗えぬまま感じた。

んっ!!

舌が触れ合う。
身体の上と下両方で繋がり、潜めていた感情や気持ちが胸を襲う。
苦しいのに嬉しくて、無我夢中にその柔らかさを貪る。
もう、私も貴方もその流れを止められそうになかった。
ただただ心の思うまま、身体の感じるまま、動き出す。

・・・貴方が中で動く。
それを受け止め圧迫することで返事を返す。
熱で溶かされ止め処なく蜜を流し、滑らかに、しかし確実に貴方の動きを早めていく。
―グレイシア・・・あいして・・・る・・・
耳元に頭を落しシーツの上で両手を絡ませあったまま私の中へ必死で硬さを送り続ける恋人が愛しい。
やがて高まるいいようのない感情と快楽に四肢が支配され、二人で共に上り詰めていく。

「一緒に・・・」

微かに微笑んで、それを合図に一際大きな波が押し寄せると、そのまま私はヒューズの大きな掌を強く握り締め
全身を走る快感の痺れに久々酔いしれた。

―マーズ・・・ッ・・・!
グレイシアッ!

お互いの名を呼んで身体が一際強く硬直すると、急激に力が抜け貴方も私にどさりと倒れ掛かった。
荒い胸の胎動が例えようもないくるおしさを込み上げさせる。
久々の「愛情の確認行為」が終わっても、貴方はフォローを忘れない。
疲れているはずなのにそんな素振りは全く見せないんだから。

「愛してるよ、グレイシア」
そうやって満面で笑って。
「今こうして確認したけど別の男としてないようで安心したぜ、グレイシア!」
子供のようにいたずらっぽく白い歯をみせて。
「久々だが・・・相変わらず感度良くて燃えちまったよ。」
のち、大人の男。

「・・・エッチ。」
恥ずかしくて、だけど嬉しくて顔を背けてしまったけれど、また貴方は「愛してる」といってキスをしてくる。
唇に、おでこに、頬に、うなじに。
こうして暗黙の了解のまま、まだ残存する高ぶりを解消する為に再び腕を脚を絡めあっていく。

長い夜は始まったばかり。
当分は覚めやらない熱を、一晩かけて、私たちはこうして放出してゆく。

Comments are closed.